東洋史学史

木曜午前の全教員・院生・学生出席の東洋史「合同演習」が(卒論相談会を除き)2回終わった。
春先は恒例の博士後期課程院生による「入門講義」で、最初の2回は「東洋史学史」。

第1回はI君担当で「東洋史学の4つの源流」のうちの3つ、すなわちヨーロッパ東洋学、近代歴史学、清朝考証学について概説し(長さの都合で4つめは2回目に回した)、第2回のHさんは「源流その4」としての江戸期漢学と、明治以降の日本における東洋史学の成立・変遷についてしゃべった。
もともと1回だけで、中国史と中央ユーラシア史に関わる部分だけ、時代的には戦後歴史学までを話していたのだが、東南アジア史やら新しい歴史学やらだんだん中身がふくらんできて、担当する院生はたいへんである。

いずれにしても1~2回ですべてをカバーすることは不可能なので、学部生が3年続けて聞く間に主な内容が網羅できればいいという考えで、毎年の内容はそれぞれ担当者の特色を出してよいことになっている。
今回たぶん初の試みだったのは、Hさんが第二次大戦後の欧米諸国の東洋学の動きを紹介したこと。従来は欧米のアジア研究については、「東洋史学の源流」扱いで20世紀前半までを紹介しておしまいだったが、そのやり方には「現実の交流がほとんどなく日本国内専用の研究でよかった」冷戦時代の枠組みが影響していたと言えなくもない。

もちろんこれをやると、では中国・韓国やインドなどアジア諸国の学界の紹介をしろ、という要求が出る。来年度以降にこれができたら、全体として「出版したら売れる」すばらしい内容になるだろう。

中国からドイツに留学中の院生で阪大に短期滞在しているXさんが、こういう授業は珍しいのでいろいろ質問する。日本語がある程度わかるが質問・コメントは英語でするので、答える方も大変だが、いい訓練だろう。博士後期の院生諸君には、「日本の東洋史独自のバイアス(パラダイム)とはどういうものか」「日本でも諸外国と同じように学問の相互乗り入れが進み、東洋史とか東洋学、中国学などの専攻や講座の名前は行政上の区分に過ぎなくなっているのか」などの質問に、簡単な答えを(できれば英語か中国語で)できるようになってほしい。

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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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