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『市民のための世界史』の用語数とページ配分

昨日の歴教研月例会の報告で、『市民のための世界史』の販促を兼ねて(?)特徴の紹介をした。去年構想発表をした際にすでに取り上げた点もあるし、新しい点もある。数量的な部分をここでも紹介したい。

大学の授業用なので、半年15回の授業で毎回1章ずつ教えるというタテマエで、便宜的に15章に分けており、歴史を学ぶ意味やこの本の性格・狙い、人類の出現と世界の地理について書いた序章、歴史学の大づかみな方法と動向、専門的に学ぶ方法/学ぶ場所と参考文献を書いた終章を含む。序章と終章の間の1~13章は、オーソドックスな時代順の通史となっている。

本文は全288頁。通史を書いた1~13章の合計は248頁である。
うちモンゴル時代までの3章が68頁(1~13章の27.4%)、ポスト・モンゴル期から19世紀初頭までの「近世」を扱う4章が68頁(同27.4%)、「短い19世紀」を扱う2章が38頁(同15.3%)、帝国主義時代から現代までを扱う4章が74頁(同29.8%)の割合である。
たとえば『新詳世界史B』(帝国書院)2013年版では、4つの時代がそれぞれ35.1%、23.9%、10.9%、30.0%の頁数を占めているので、『市民のための世界史』は古代・中世が短く、近世・近代が長いいうことになる。また帝国主義以降では第2次世界大戦後が比較的長い。全体的な割合は、世界史Aと世界史Bの中間的といえるだろう。
また『新詳世界史B』では、ギリシア・ローマや中世~近世ヨーロッパ、それに近代アメリカについて記述するページを概算すると、モンゴル時代以前の30.1%、近世の70.0%、19世紀の50.0%を占める。これに対し『市民のための世界史』はそれぞれ、23.5%、50.0%、50.0%と数えられる。後者がアジアや日本を重視している(アフリカやラテンアメリカ、オセアニアはまったく不十分)のも事実だが、前者を含む高校教科書がいかにヨーロッパ中心史観にとらわれているかが浮き彫りになる。

最後に高校現場ではもっとも気にされるであろう用語・事項の数だが、「章のあらすじ」を除き注、コラム、図表、地図などから採録したエクセルのファイルによれば、2600個弱になった[索引に全部を採録してはいない]。地図の細かい地名を一部無視したし、本文でも固有名詞でない語句をどこまで数えるかは、厳密な基準があるわけではない。

内容を見ると、人名、事件・制度名や年代はほとんど中学並みである一方で、「綿花」「茶」などモノの名前、「近代世界システム」「財政軍事国家」など学術上の概念や、「地球温暖化」「人間の安全保障」「集団的自衛権」など「現代用語の基礎知識」的な用語・事項を大量に含むのが特徴である。また、「重要語句」とはいえないが「エピソード」や学説・論争史など読者の興味を引くための仕掛けで挙げた語句もかなり含まれている。それと「重要語句」との間に、明白な境目はない。

人名・事件名や年代は、もう少し多くていいと言ったつもりだったのだが、用語数の削減を強く意識する各著者にうまく伝わらなかったようで、高校教科書に対して示す「用語数は抑えても十分書ける」というモデルにするには、ちょっと用語が少なすぎたと思われる。

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プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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