留学歓送会

東洋史学専門分野の院生が3人、この秋から留学するので、今夕は石橋で歓送会があった。学生が企画したものだが、私のゼミ生が2人いるので(T君がインドネシアへ、Mさんがベトナムへ)、私も参加させてもらった。
東洋史のOGや日本史、外国語学部などの院生の参加もあり、盛り上がった(一部は今ごろまだ飲んでる?)。


私のゼミ生が留学するたびに、いつも言っていることがある。紹介しておきたい。
・日記を毎日つけること。
・なるべく日本人とは話をしないこと。ストレスがたまってだれかの悪口を言いたい場合には、他の国から来た留学生と(なるべく現地語で)話すこと。
・資料収集や調査研究をあせらずに、まず日常会話を含む言葉の習得と、人間関係作りをすること。
・相手にとってあなたは「日本人代表」であることを心せよ(行動に気を付けろという意味もあるが、研究を志す人間にとってより大事なのは、日本のことを正しく認識し、聞かれたら説明すること←私が日本史の勉強をするよようになった重要なきっかけは留学だった)。

このごろの留学生は、短期間で論文を書かねばならないこともあり、言葉もよくできないうちから文書館に通って資料だけ集めるという話をどこでも聞く。しかしそんなことで論文が他人より早く書けたとしても、就職にはほとんどつながらない。大学・研究機関以外への就職なら当たり前だが、「研究者」としての就職でも、研究対象地域の言語が初級ぐらいは教えられる、その言語(と英語)で論文や学会発表ができる、その地域との学術交流がコーディネートできる、ぐらいのことがなければ、就職は限りなく困難である。これは不景気や超貧困な学術政策のせいとかいう以前の問題である。逆に、そういう能力を身につけ人間関係をつくっておけば、あとから優れた研究はいくらでもできる。

同様に、「研究が出来ない」という理由で、日本より研究環境の劣る国・地域に院生や若手研究者が行きたがらない、という話もいろいろな分野で耳にするが、長期戦略を考えたら賢明ではない。ある時期論文が書けなくても、その間の海外修業の経験が、新しい問題意識の獲得も含め、就職や昇進に有利に働くケースは多い。

大昔の自分の経験を押しつけてはいけないのだが、狭い意味の研究や論文執筆に直結しない部分で、日本を離れて困ったり考え込んだり遊んだりしながら暮らす、そこに留学の大きな意味がある。

今回の3人にも、がんばってほしい。
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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