『虫喰う近代 一九一〇年代社会衛生運動アメリカの政治文化』

昨年の歴研大会で「境域」シンポの司会をされた松原宏之さんから近著を送っていただいた。
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まだ序章しか読んでいないが、無駄な前置きや接続詞を使わずに短い文をたたみかけてゆく文体に、力がある。

本書は、激変するアメリカ社会の状況を会計として、近代化への楽観と幻滅のあいだで揺れながら、多くのアクターが交錯し、そのなかで新しいものが作りだされまだ変形されてゆく政治文化史を扱う。かつてのできたものを予定調和的に説明する政治史はもちろん、文化の政治性を扱う最近の研究ですら、結果としてできあがったものを前提にそこに至る過程として描いてしまうという問題点(リン・ハントのフランス革命研究もフランス共和国誕生の歴史を文化面で裏書きすることになるなど、文化の政治性を批判する研究はけっきょく「強大な一枚岩をなす秩序」を想定しないと批判ができないという問題点をかかえている)を、より歴史的に乗り越えようとする野心的な研究とみた。

「革新主義」時代アメリカの話にふれるは、学生時代に紀平英作先生の講義を聴いて以来のことではないかと思う(汗)。

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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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