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鎖国の相手はヨーロッパだけ?

水曜1限の学部・大学院共通の特殊講義は、前半が歴史学と歴史教育の概要と問題点、後半はそれらとからむ海域アジア史の成果と課題を扱っている。
今週はまずアンソニ・リードの東南アジア海域史とリーバーマンのグローバルな比較史について紹介し、後半で日本の鎖国の話をするつもりだったが、前半の話で大半の時間を食ったため、出席カードに(毎度おなじみのネタだが)日本はもし鎖国していなかったらどうなったと考えられるか、そこから見て鎖国の特質を論ぜよ、というのを「今までの知識のままでいいから書け」とやった。

海域アジア史の大きな流れはプリントでずっと前に配って、そこにいろんなヒントも書いてあるのだが、受講生が書いた答えはみごとに、キリスト教やヨーロッパの文化が日本に広まったか、ヨーロッパに対して日本が政治的独立や文化的自立性を守れたかどうかという「定番の」話に集中している。中国との関係を書いたのは40人近い受講生のなかでほんの2~3人。まったく日本の高校までの教育の画一性は恐ろしい。

これを読んでいる教員の皆さん、(何度となく解説したつもりですが)17世紀日本の貿易はヨーロッパ人がおこなったものも含めて大半が中国を中心としたアジア貿易だったこと、鎖国の直接の目的はたしかにキリシタンの浸透の防止だったけれども、長期的に大きな意味を持ったのは華人ネットワークを排除し(どんなに華人ネットワークが広がりつつあったかご存じですか?)自前の商業・手工業や通貨体制を発達させた点だったこと、江戸期日本の思想・文化面の最大の特徴は中華世界からの自立に大きく近づいたこと、などをきちんと教えてください。『世界史を書き直す 日本史を書き直す-阪大史学の挑戦』で書きましたし、最近の日本史の概説にもこういう話はちゃんと出ています。カトリックの締め出しと蘭学ばかり教えるのは「欧米崇拝」の一形態です。また中国とのつきあい方という日本の巨大な課題から目をそらす危険な行動です。

これを読んでいる「現代中国は許せない」と思っている皆さん。與那覇潤さんも書いていますが、鎖国後の日本はあらゆる面で「脱中国」を進めました。その歴史を学んで、いたずらに中国に突っかかるような幼稚なやりかたとは違った賢明な方法を考える材料にしてください。

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プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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