関西インテリゲンチャ

毎日新聞夕刊「ぶんかのミカタ」欄の苅部直・東大教授の文章が大事な点をついている。べたべた大阪主義の毎日新聞がよく載せたものだ(京都批判であって大阪には関係ないと誤解したか??)。

内容は、東大とくらべて「自由な」京大が毒す的研究をするというイメージがあるが、ときにそれは権力に利用されてきた、1940年代初頭の京都学派の哲学者たち(「近代の超克」を唱えたので有名)がその例であるといった話である。

あの京都学派の動きが、日米開戦を食い止めようとする海軍軍人の意向に基づくものだった(高い理想の必要性を掲げて開戦のバーを上げようとしたのだそうだ)という事情をちゃんと紹介したうえで苅部氏は、「意地悪な見方をすれば、その高尚な理想を掲げるアドバルーンとしては、京大の純粋なアカデミズムの方が適切だという判断も働いたのではないか。さらに言えば、権力の運用についてうぶなところがあるから使いやすいという計算も」と辛辣に書く。

「東京都は異なって、権威のしがらみから自由な視点から活発な提言をする。そんな姿勢を、京大の学者にかぎらず、一般に関西の文化人に期待する傾向が、ジャーナリズムにも政界・官界にもしばしば見られる。。。だが「京都学派」の哲学者の例にも見られるように、在来の権威を否定する自由さが、時には権力者によって好都合な方向に働くことも、またそのように利用されることもありうる。しかもその場合、自分は権威とは無縁だと思い込んで発言するから。一層たちが悪くなるかもしれない」

反権威などという伝説をふりかざす学者にも政治家にも、とりわけタイガース・ファンにも、これを読ませるべき大阪人がたくさんいる。タイガースがいったいどれだけジャイアンツを助けてきたことか。

小松左京の3回忌、河合隼雄の7回忌ということで依頼した記事だと書いてある。そこでこういう記事を載せるとは、毎日もだいぶん進歩したか?

ちなみに私は、大阪や関西を全否定してなどいない。歴史学界ではいまや、阪大旋風が吹き荒れている。しかしそれはステレオタイプな京都や関西のイメージが生み出したものではないことを言いたいのだ。
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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