ああ、自己中国化

「ベトナム屋」としての私が若い頃に研究していたテーマに、「脱中国のための中国化」というのがあった。中国から自立し中国に対抗するために、中世ベトナム王朝が自己中国化を進めた過程の研究である。

現在の日本政府も、まさにこれをやろうとしている。
主観的にはアメリカのためかもしれないが、憲法改定や特定秘密保護法などいずれも、中国に対抗するための自己中国化の色彩がきわめて強い。また「正史(現政権を正当化するもの)を作ったら元の資料は廃棄する」などのやり方も、秘密保護法の発想と親和的だ。

だが、そういう中国化をいくらしても、しょせん「本中華」にはなれない(與那覇潤さんがいう「ブロン」ができてしまうことも多い)。
近代西洋的人権をここまで抑圧するなら、せめて代わりに、皇帝(主権者)以外の監督を受けずに、独立していかなる高官でも調査・弾劾できる権限をもつ「強力な監察機関・監察官」ぐらいは置くべきであろう。近代中国でも「三権分立」ならぬ「五権」をうたったことがあるのは、知っている人も多いはずだ。また、国立の図書館・公文書館のような部署には膨大な人員と予算をつけるべきだ。

そういうこともできずに統制強化だけ進めても、宮嶋博史さんがいうとおりの「儒教圏の落ちこぼれ」であることを証明するだけだ。

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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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