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チコちゃんが野菜農家に叱られた

毎日新聞朝刊「くらしナビ」から。
スーパーなどで売られている野菜の大きさが揃っているのはなぜか、「チコちゃん」で「品質が揃いやすい種を使っているから」と説明したのに対して、農学博士号をもち農業をしている人が抗議したそうだ。
番組では交配で作られた、形が整い病気に強いといった特徴をもつ「F1種」の種を使うことで、出来上がる作物が均質になると説明したそうだが、これは都会っ子ながら農学・生態学に力を入れている時期に東南アジア地域研究を学んだ私でも知っている、オソマツな説明である。抗議した男性いわく「F1種を使うことで一定の質になることは事実です」が、「F1種を使えば自動的に野菜の大きさが揃うわけではない。大学のテストでこの解答をしたらバツです」。そう、農作物の工業製品との違いはそこにある。土や天候が違えば同じ大きさと形にはならない。農家はたくさん出来たものを、ちょうどいい形や大きさになったときに収穫し、その中でも不揃いがあるのを、大きさや形ごとに細かく選り分けて出荷をするという今期や集中力のいる仕事をしているのだ。それでも農産物の価格というものは工業製品の価格のように一定はしない。また質や味に問題なくても、形が悪いもの、傷や虫食いがあるものは「消費者が買わない」という理由で流通・小売業者が買わなかったり、加工用に買いたたいたりする。

ここにあるのは、都会の消費者に対する教育の不十分さ、それが結果として生み出している消費者から生産者への「暴力」ではないだろうか。



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少人数学級の導入をめぐって

毎日新聞(大阪本社版)朝刊の「オピニオン 論点」はコロナ禍で浮上した少人数学級について3人の関係者が意見を述べている。
いずれも本当に大事なのは教員の負担軽減ときめ細かい指導、そのための人材確保だという点は一致しているが、方法論が分かれる。
大事な視点として、末吉芳さん(日大教授)が(1)ハラスメント防止をセットにする必要がある。たとえば中学校ではハラスメント的指導が目立つので、単純に少人数学級にすると多人数なら隠れていられた子が逃げ場を失うことになりやすい、(2)授業の性質によってクラス人数を変えるなどの方法もあり、単に学級規模を小さくすればいいというものではない、(3)テストの点だけで(大人数学級でも大丈夫だなどの)議論されているのがおかしい、学校教育は自己肯定感などテストでの測定が難しいもの(非認知能力)も延ばす役割がある。大人数学級で非認知能力が延びるという科学的根拠はないので、40人学級を維持したければ財務省はそこを証明しなければならない。
最後の点は、官僚だけでなく国民が「わかってますか」と問われている。

『にほんでいきる』外国籍の子どもたちの学ぶ権利を問うキャンペーン報道

毎日新聞の上記キャンペーンが新聞協会賞(企画部門)で受賞したそうだ。
今日の朝刊に特集記事があるが、大事なことがたくさん書かれている。
こういう問題に積極的に取り組む政府や国民をもつ国が、世界で尊敬されるだろう。残念ながら日本はまだ、その行きに達していない。ほとんどが個人の努力に任されている。

高度成長期に出来た構造は変えられる

以下、同じ方向の話は何度も書いてきたが、とうとうここまできたかという感慨が大きい。
2年連続ホークスがジャイアンツをスウィープ。今年は競った試合も皆無。問題にならない。金のかけ方は似たようなものだと思うが、結果として行われている野球のレベルが違う。
パリーグ初、ジャイアンツ以外では初のシリーズ4連覇もすごいが、これで日本シリーズの通算成績ではとうとうパがセを追い抜いた。日本一の回数がパ優位になるのは、1950年の第1回日本シリーズで毎日オリオンズが松竹ロビンスを破って以来のことだ。

日本シリーズの最初の15年はセの8勝7敗と成績は均衡しており、両リーグの観客動員もそんなにひどい差が付いていたわけではない。ところが1965-73年にジャイアンツの9連覇などという悪逆非道な時期があり、勝敗も人気も大差がついた。この時期に成立した「巨人・大鵬・卵焼き」世代を親に持つ選手には、ドラフトで指名された際に本人は「どの球団でもいい」と言っているのに、親が「巨人じゃなきゃだめだ」と強制するような例も見られた。
その1965年に導入されたドラフト制度の効果で、ジャイアンツの圧倒的な覇権はやがて維持できなくなるが(讀賣に都合のいい解決がされた黒い霧事件や江川事件の影響は一時的だった)、パに阪急ブレーブスやとりわけ西武ライオンズの強力な挑戦があれば、セにはジャインアンツを大事なところで助ける副官としてのタイガースや、既成秩序に挑戦してみせるカープ、スワローズなどの巧みな分業があり、FAだの逆指名制度だのの効果もセに有利に働いたので、なかなかセ有利の構造は変わらなかった。ライオンズの栄光があと10年続いていれば、90年代にパが追いついたんじゃないかと思うが、堤義明の失脚などもあってそれはかなわず、2002年にはセ32勝-パ21勝と1973年よりさらに差が開いた。つまり高度経済成長期に出来上がった不平等の構造が再生産され続けたのである。

しかしそこから逆襲が始まった。日本シリーズでは2003年から今年までパの15勝3敗。その後始まった交流戦もセが勝ち越したのは一度だけ。セが「国内専用の見世物」(それはそれで簡単ではないのだが、しかし純粋なスポーツとは言いがたいショウの面が強まる。しかも従来の人気にあぐらをかいてさほどの経営努力を払わない球団が多い)を続けたのに対し、パが全体として「メジャーリーグに通じる力勝負と経営」に向かった結果が、グローバル化の時代に--最初から世界を意識したサッカーJリーグとはずいぶん違うやり方ではあるが--はっきり出て来たのだ。

世の中は「モリカケ桜」だ「学術会議」だとひどい話が多く、「高度成長期のやり方を変えられない中高年男性」害悪はいたるところで噴出している。しかし、しっかりカネをかけ、しかも努力と工夫をすれば世の中を変えられるという見本が、ここにあるのだ。
プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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