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(歴史の公式)魔女狩りの先頭に立ったのはどういう人々か

この間、政府批判とか自分が所属する組織の批判をする人々に対して「イヤなら日本を出て行け」「イヤなら別の組織を探せ」というような攻撃がよく浴びせられる。別の面ではちゃんとした意見をもっている立派な知識人でもその手のことを平気でいう人がいる。
そこで思い出すのが、歴史の常識にしなければならない事柄の一つ。近世ヨーロッパで魔女狩りが荒れ狂った際に、先頭に立ったのはだれだったかという話。全体の割合などは知らないが、イベリア半島では「最近キリスト教に改宗したばかりの元ユダヤ教徒やイスラーム教徒」が魔女告発の先頭に立ったと言われる。これは「戦時中にバリバリの軍国主義者だった日本人が戦後に左翼が強くなるとその先頭に立つ」「都会に出てきたばかりの田舎者ほど都会を賛美し田舎をけなす」などなど歴史上に類例がたくさんある。要するに立場を変えた人間は信用されない。それを新たに自分が所属したところのマジョリティに信用させようと思えば、「昨日の仲間を叩く先頭に立つ」しかない。植民地で抵抗をあきらめて「植民地協力者」の道を選んだ人間が、反植民地運動をつぶす先頭に立たざるを得なくなるというのもよくあった話だ。
つまり「イヤなら出て行け」論や、その前提にある「不満な状況に陥るのは自己責任だ」という考えにも、最近成り上がった人々を含め、その陣営に「過剰適応」している人々がその先頭にたっているんじゃないかということ。それはより大きくいうと、自己責任論とか植民地支配などの支配構造に踊らされているというのは、何もマルクス主義でなくても明らかなのだが、こういう人々が増えてくれると、本当に魔女狩りをしたい人々、反植民地運動をつぶしたい人々は笑いが止まらない。反政府運動に立ち上がった若者に「大人に操られている」などとけなした人々もたくさんいるが、そういうい人々こそ「自己責任論」「イヤなら出て行け論」に「自分で操られている」というべきだろう。

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筒香選手の警鐘

毎日新聞(大阪本社版)スポーツ欄では小さな扱いだったが、DeNAの主砲の筒香嘉智選手が外国特派員協会で記者会見して、過度な指導や勝利至上主義が野球をやる子供をどんどんnつぶしている問題に警鐘を鳴らした。こういう意見をしっかり言える野球選手が増えてきたのはすばらしいことだ。また、日本の野球はもちろんダメなところばかりではなく、MLBで活躍する投手の輩出など優秀な点もあるのだが、「指導者や親がよってたかって。。。」という状況は、「日本の病根の象徴」のひとつとしか言いようがない。なおその問題は、別の文脈で問題にされている「学校教員の部活指導の負担」ともはっきりつながっている。

倍賞明氏の訃報

FBの方が簡単なのでこのごろブログは研究会案内以外ほとんど記事を書かなくなっているが(FBやツイッターと連動させるつもりはない)、たまには独自の記事を書こう。
新聞のスポーツ面のはじっこに訃報が載っていた倍賞明氏(74歳)。日大三高で1962年のセンバツ準優勝、日大と日産自動車でも活躍し日産の監督もつとめた倍賞明氏。私が小学生のころ結構有名選手だったのを記憶している。その理由のひとつは、今日の訃報にも出ていたが倍賞千恵子の弟だということ。当時は「男はつらいよ」より前で、倍賞千恵子といえば「下町の太陽」だった。
ちなみに私が寅さんの妹のさくら(や幸福の黄色いハンカチ、遙かなる山の呼び声、駅stationなど)に感動したのは大学~大学院時代なのでだいぶん後の話である。山田洋次監督ものでも「家族」「故郷」などはもっと後。

ベトナムからの技能実習生、留学生

昨年末の入管法改定以来いろいろと話題になっている件で、ハノイの日本大使館でも今日セミナーを開いているそうだ。
「初めて」というところがかなり問題だと思うが、「両国の多くの関係者が結託した人身売買」と国連で見られているような状況が改善されることを願う。とにかくあちこちで聞く実態は、黒人奴隷制よりはずっとましだが、その廃止後の世界に出現した中国人・インド人などの「クーリー労働力」(「年季契約」で海外に赴き働く者が多かったが、前借りなどで縛られ劣悪な環境に苦しんだとされる)とどこpが違うのか首をかしげるような話も聞く。

他方でベトナム人(自称経営者、投資家等)に騙されて金を巻き上げられた日本人の話も聞かれるようになってきた。もちろんケシカランことだが、それをもってベトナム人排斥運動や過剰な取り締まりなどをさせてはいけない。何度も書いているが、日本人は札束が服を着て(しかも他の先進国の人々と比べておそろしく無防備で)歩いているように見えて当然だから。それがいやなら「自己責任で」対策を取るべきだ。
また両国の関係は、トータルで日本が(少なくとも当面の収支としては)儲けているのだから、それを長期的なウインウインの関係にもっていく智慧とそのための投資を惜しんでは話にならない。いつもいっている通り、それは政府や自治体もやるべきことがたくさんあるが、国民個々人もそのために勉強すべきことは山ほどある。「ベトナムといえばフォーと生春巻き、ビールは333、服はアオザイ」みたいな「フジヤマ、ゲイシャ」型の知識をどうやったら超えられるか(それには暗記量を増やすしかないのか)を考える訓練もその一つだ。

東南アジア地域研究の長老が学問を語る

下記のとおり、「白山人類学研究会」2018年度第7回定例研究会をおこないます。研究会への事前の参加登録は不要です。皆さまの参加を歓迎いたします。
日時:2019年1月28日(月)17:00~20:00*開始時間がいつもより早くなっておりますので、ご注意ください。

場所:東洋大学白山キャンパス8号館3階 8305教室
http://www.toyo.ac.jp/site/access/access-hakusan.html*研究会終了後、懇親会をおこないます。

◇発表題目
〈学問〉とは何か?―フィールドで考えたこと、教室で感じたこと

◇発表者
加藤 剛(東洋大学客員研究員・京都大学名誉教授)
◇コメンテータ倉沢愛子 (慶應義塾大学名誉教授)

◇要旨  〈学問〉とは何か?―学帽、マントに高下駄の旧制高等学校時代ならともかく現代の学生や研究者の間で、この問いが発せられることは滅多にないように思う。なにやら哲学的で難しそうだし、どう答えてよいかも分からない。勇気をもって口にしようものなら、「なにをいまさら」「そんなことも分からんのか」「なんとも青臭いことよ」、場合によっては「それを問うて何になる」と一蹴されそうだ。「さわらぬ神にたたりなし」である。しかし、なにかにつけ役に立つ研究が強調される今日、今一度この問いに立ち戻ることは大事だろう。 難しい問いに直面した時、助けになるのが「比較」であり「歴史」である。まず最初に、〈勉強〉、コンピューター、AIなどとの対比で〈学問〉とは何かについて、そして人類史における〈学問〉の意味について考えたい。次いで「フィールドは〈学問〉の道場」をモットーに、「〈学問〉は生きもの」をテーマに、自分の研究キャリア、具体的にはインドネシア村落やマレーシア村落を中心に行なってきた己のフィールドワークを振り返る。教室もいわばフィールドであり、長く研究所にいたためキャリアは限られるが、若干なりとも教育についても触れてみたい。いわば加藤の〈学問〉実践の遍歴である。この50年で東南アジアといわず世界は大きく変化した。それと並行するように年を重ねてきた自分の研究関心はといえば、継続しているもの、どこかにいってしまったもの、新たに生れたものと様々である。最後に、現在の個人的研究関心の一端を紹介する。
 発表を通じて伝えたいメッセージは、「〈学問〉は時、所、職業を選ぶことなく、定年もない」ということ、〈勉強〉と違い「楽しくなければ〈学問〉ではない」ということである。


++++白山人類学研究会+++++

112-8606 東京都文京区白山5-28-20
東洋大学社会学部松本誠一研究室内
白山人類学研究会
2018年度幹事: 箕曲在弘・寺内大左
hakusanjinrui(a)gmail.com

フィリピン・ドキュメンタリー映画上映会

来週の話で恐縮ですが、以下のドキュメンタリー映画の上映会が4カ所で行われます。ご参加はもとより、ご関心のありそうな方に転送いただけると幸いです。

岡田泰平
===============
映画上映会のお知らせ

このたび、以下のドキュメンタリー映画の上映会を開催します。

Curiosity Adventure & Love
好奇心と冒険と愛
―戦時下のフィリピンを生きた 107歳の女性の物語―
サンシャイン・リチャウコ・デ・レオン監督
フィリピン、2016年(日本語字幕付)
予告編:https://vimeo.com/311392637/03b47b2877

主人公のJessie Lichaucoは、先週107歳を迎えた米国人女性で、
1930年代にフィリピン独立ミッションでワシントンを訪問していた
若き外交官、Marcial Lichauco(後に駐英大使)に出会って
マニラに単身渡航して結婚し、
米国人として、外交官夫人として、太平洋戦争(特にマニラ市街戦)
を経験しました。

このたび、彼女の孫であり、この映画を制作した
Sunshine Lichauco de Leon監督を日本に招き、
下記の通り、日本初の上映会と、監督トークを開催します。

●1月21日(月)11:20-12:30
 東京・一橋大学東キャンパス 第3研究館・研究会議室
●1月23日(水) 8:45-10:15/ 16:30-18:00
  石川・公立小松大学中央キャンパス
  8:45-1015は 202講義室
  16:30-18:00は 305/306講義室
●1月24日(木)19:00-21:00
 東京・テンプル大学 Azabu Hall, 1F Parliament Student Lounge
メールにて要事前予約:icas(a)tuj.temple.edu
●1月25日(金) 15:30-17:00/18:00-19:30
 京都・同志社大学今出川キャンパス 寒梅館クローバーホール
  同志社大学生以外は300円

いずれも一般公開、英語音声/日本語字幕付、監督トークあり
公式サイト(英語のみ) http://www.curiosityadventureandlove.com/
プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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