日本人がノーベル賞で大騒ぎするわけ

2,3日前の毎日新聞にこういう記事が出ていた。
ノーベル賞を日本人がもらうと大騒ぎをする(しかしほかの権威ある学術賞をもらっても注目されない)のはなぜかを分析したものだった。

それによると、二つの解釈があるという。
第一は明治以来の「西洋に認められたい」という心理。
第二はバブル崩壊後の停滞で自信を失った日本人の自信回復。

しかしこれは、おんなじことじゃないだろうか。
要するに自分に自信がもてない。コンプレックスが強い。そして自分自身に自分を評価する基準がない。
だから他人にどう思われているかがすごく気になり、けなされれば落ち込んだり逆切れするし、認められると異常にはしゃぐ。

脱線だが、私が何度もしてきた話に「歴史学にもノーベル賞か高校生オリンピックがあって日本人が受賞すれば、歴史はいらないなどという話は--歴史を学ぶことは役に立つかどうかなどこちらから説明しなくても--吹っ飛ぶ」というネタがある。
ところが残念なことに、ノーベル歴史学賞や高校生歴史オリンピックはまず成り立たない。それはなぜか、歴史を専門に研究または教育する人は考えておくべきだ。
明日から始まる特殊講義のイントロは歴史教育の話をするので、受講生にも聞いてみよう。
スポンサーサイト

単純な要約の試験問題

「〇〇時代の××について200字以内で述べよ」式の、教科書を単純に要約すればできるタイプの入試問題(中教審の審議でも、そういう理解に到達させることがひとつの目標とされている)は、論述問題の中でも現場の先生に評判がよくない。

しかし、現場にそれが答えられない先生がすごく多い事実をどうしたものか?
それ抜きで歴史の「思考力」もなにもないのだが。


覚えることと考えることの関係

中学時代に国語の教科書で習って以来私が好んでいる論語の言葉に、「学びて思わざればすなわちくらく、思いて学ばざればすなわちあやうし」というのがある。覚えただけで考えなければわかっていることにならない、考えるだけで覚えなければそれはアブナイ」といった意味だろう。

この場合、「学ぶ」と「思う」は車の両輪であって、どちらが先とかどちらが基本でどちらが応用という関係にはないだろう。

ところが日本の教育は、「型を覚え込む」ことを優先的に先にすべき基本として扱い、「その型の背後にある心(考え方)」を身につけるのを「後回し」にすることが多い。芸事や武道でもスポーツや学校教育でも、たいていそうだ。そうするとたいていの場合、「心」を理解する訓練が受けられるのは、「型」を完璧に身につけた少数の優秀者だけ、ということになる。

それでいいのだろうか。

「はねるはねない、出る出ない」を完璧に覚えた者しか、漢字といううふしぎふしぎな(とても面白い)文字の特質を考える機会をあたえられない。
中国の王朝名を全部暗記した者しか、中国史の世にもケッタイな(困った点も多いがしかしこれも知的興奮をそそる)特徴を考える機会を与えられない。
記号・語句の記入やマークシートの試験が完璧にできる者にしか論述式の訓練をしない。

それでいいのだろうか。

プロの養成ならそれでもいいかもしれないが、全員が学者になどならない初等・中等教育がそれでいいのだろうか。

少数のエリート以外は右肩上がりなど決まった世の中の仕組みに従って働いていればいい時代ならそれでもいいかもしれないが、21世紀にそれでいいのだろうか。

少数の支配者の命令にみんなが従う社会ならそれでもいいかもしれないが、民主主義社会にそれでいいのだろうか。

外国人との接触など限られた人間にしか機会がなかった時代ならそれでもよかったかもしれないが、国内の、それも地方社会が外国人労働者や観光客なしには成り立たない時代に、それでいいのだろうか。

プロの養成でも、ベンチのサインで大部分のプレーをコントロールできる野球ならまだありかもしれないが、それが不可能なサッカーやラグビーの選手の養成に、そういうことをやっていていいのだろうか。

ここまで書いても、まだ反論はあるだろう。
「そんなことを言っても子供は強制しなければ勉強などしない」
そうかもしれない。だがそれなら、「覚えること」だけでなく「考えること」も強制しようではないか。

野球で一流でない外国人打者を「ボールになる変化球で三振させる」ことはは並みの投手もできるが、サッカーの日本代表はトップクラスの選手でも国際試合になると(セットプレーは別として)永遠に「決定力不足」に泣かされ続ける、それは「型」を先にする日本的教育の光と影を明瞭に示すものではないのだろうか。




名古屋ベトナムネットのご案内

最近は名古屋でも留学生や海外で働きたい日本人向けの
就職フェアが増えています。卒業したら海外で働けるって、
(大変でしょうが)本当にうらやましいですね~。

さて来週3日は、岡崎出身で、ベトナムで研究をされている
鍋田尚子さん(神奈川大学)に、中部の古都フエの
かまどの神様についてお話をうかがいます。
ぜひご参加ください。

◆◆10月3日(月)pm7:00 ベトナムカフェ
 「ベトナム・フエ地域の竃神(かまどがみ)」
  *「オンタオ」の名称で親しまれているベトナム・キン族の竃神は、
  地域により祀り方に特徴があり、小さな神像を祀るフエの竃神は
  とてもユニークです。
 *他の地域と比較しながら、また他の神さまとの関わりから、
  フエ地域の竃神と竃神を祀る人々についてお話しします。
  ※ベトナム食堂「ビンヤン9」にて
  (ベトナムコーヒー・バインミー付き1800円 申し込みはemailで)

◆◆10月8日(土)グローバル人材就職フェア
 名古屋国際センターホールで行われる、留学生や、
 グローバルな就職をしたい大学生向けの就職フェア
 http://npotokai.com/job-fair2016

◆◆11月7日(月)pm7:00 ベトナムカフェ
 「ベトナム人の就職事情と私たちの役割」
 講師:布垣明氏(Man to Man 株式会社)
 *現在名古屋の産業は、海外の方々無くしては、
  成り立たない業種も存在しています。
 *海外の方にをどのように受入れ、
  どのように活躍していただくのかは、
  私たち一人ひとり、そして地域社会が
  深く考えていかないといけない課題です。
 *誰もが活躍できる社会になるために、現状と課題をうかがいます。
 ※ベトナム食堂「ビンヤン9」にて

NPO法人名古屋ベトナムネット
電話:070-5589-5608
www.758Vietnam.net

日歴協の歴史総合に関するシンポジウム

うーん、行けるかどうか。。。

歴史教育シンポジウム
  「歴史総合」をめぐって

  主催:日本歴史学協会・日本学術会議史学委員会高校歴史教育分科会主催


日時:2016(平成28)年10月22日(土) 13:30~17:30

《開会挨拶》 高埜利彦(学習院大学教授 日本学術会議会員)

《報告》
油井 大三郎(一橋大学・東京大学名誉教授)
  「暗記中心の歴史教育からの脱却―「歴史総合」新設を契機として― 」

近藤 孝弘(早稲田大学教授 日本学術会議連携会員)
  「歴史総合」の課題をドイツから考える―カリキュラム改革の差異をめぐって―」

西村 嘉高(青山学院高等部教員)
  「歴史総合」のカリキュラム案―青山学院高等部での実践を踏まえて―

《閉会挨拶》 木村茂光(日本歴史学協会会長 帝京大学教授 日本学術会議連携会員)

場所:駒澤大学 駒澤キャンパス1号館1―204教場

※東急田園都市線「駒沢大学」駅下車 徒歩約10分。「公園口」出口を出て、二子玉川方面へ向かい、駒沢交差点を左折し、左側に駒沢キャンパス。
駒沢キャンパス案内URL http://www.komazawa-u.ac.jp/cms/campus/c_komazawa

「南伝上座仏教と現代」ワークショップ

こちらは愛知大学からの案内

愛知大学人文社会学研究所は,以下の要領で,「南伝上座仏教と現代」に関するワークショップを開催致します。公開で行われ,事前登録等は必要ありません。皆様のご参加をお願いしたく,ご案内致します。

               記

【趣旨】 南伝上座仏教の教義を日本の仏教との比較によって明らかにし,この実践形態を,タイとミャンマーにおける実例にそって検討し,宗教のトランスナショナル性について,その限界と可能性を考える。

【日時】 2016年10月15日(土)13:30 ~ 17:00
【場所】 愛知大学豊橋キャンパス 研究館1階 第1・2会議室
【プログラム】
13:30「問題提起」  伊東 利勝(愛知大学人文社会学研究所)
13:45「南伝上座仏教と日本の仏教」 藤本 晃(浄土真宗誓教寺)
14:30「タイ仏教徒社会の宗教実践~動態の諸相~」 林 行夫(京都大学・教授)
15:15 休憩
15:30「ミャンマーにおける「パラウン仏教」の創出とその実態について」 小島 敬裕(津田塾大学)
16:15 総合討論

以上,報告要旨等,詳しくは,http://taweb.aichi-u.ac.jp/irhsa/index.html をご覧下さい。
プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセス・カウンター
あなたは
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR