全歴研大阪大会

明日と明後日、大阪国際交流センター(大阪市・上本町)で開かれる。
http://www.zenrekiken.jp/#

当日参加も可能とのこと。阪大出身の教員の報告もある。
31日は秋田茂氏が記念講演をする。
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「平和の探求」レポート課題

教養課程のリレー講義である。
今年は教科書『平和研究入門』(阪大出版会)が出た。

毎回それぞれの担当教員がレポート課題を出すのだが、私の課題は去年と同じで、
1.「平和のために歴史を学ぶ」内容としてどんなことが考えられるか、いくつかのパターンをあげよ。
    例:歴史上の主な戦争の発生原因を学ぶ。
2.「格差社会」(一国内で経済・社会的な格差が大きい状態)がなぜ戦争や対外侵略につながりやすいか、歴史上の例をあげて説明せよ。

の2題(両方とも)である。A4の用紙裏表に1回分のレポートを書くことになっている。

2では、格差社会の上層と底辺層がそれぞれどういう原因で戦争を要求/支持するかを書かせようとしたのだが、誘導がちょっと不足したか、それともみんな忙しくて手を抜いたか、「国民の不満をそらすために支配者が外に敵を作る」ぐらいで終わってしまったレポートがわりと多かったのは、ちょっと残念だった。

皆さんならどう答えますか?

アメリカはどういう「友人」か

台湾から帰った後は忙しくて(「忙しい飲み会」も含めてだがw)、記事を書く暇が無かった。
その間に、集団的自衛権についての学生主催のトークセッションに出演するなどという機会もあった。

スピーカーは、安全保障の実務家、韓国や中国の横暴を批判する市民運動家、私(九条の会の活動家として呼ばれたらしい??)、基地問題や非政府組織の専門家の4人。はじめの2人が集団自衛権行使容認の賛成派、あとの2人が反対派という構図であった。
そこで私が主張したのは、
・日本が、反対派が心配するような「アメリカの手駒として戦争に巻き込まれる」事態を避け、国益と国際軍事協力を両立させるためには、国際情報を自前で収集・分析できる外交・諜報機関の能力が必要不可欠である。しかし第二次大戦後、そういう能力はアメリカによって奪われたままで、今の日本にはまったく存在しない。しかも、優秀な若者が外交や国際関係の専門家になろうとしない、とくにアジア・アフリカは敬遠して欧米にばかり群がるという現状では、話にならない。アメリカが全部情報をくれるなどというのは考えが甘いし、そもそもアメリカの情報収集は全能でない。こんな現状で集団的自衛権行使を容認すれば、「敵」に攻撃の口実を与えるだけだし、結果は(情報収集ができないのだから)首相がいう「ある日突然戦争が起こる」という非現実的な想定が現実になってしまう。

・危険な国・勢力があるからといって、行政権力と官僚の判断でなんでもしてよいというのは、近代法治国家でなく儒教国家の考え方である。何でもこの方向に進む最近の日本の政府や政治の動きは、明治以来の近代国家建設の努力を無にして、より非近代的な国家や人々に合わせて自分のレベルを下げることにほかならない。

・こういう理由で、中国・北朝鮮その他の危険性を認めることは、集団自衛権行使容認には結びつかない。そんなことより、外交関係や安全保障の多角化に努力すべきだ(日本にまともにアジア・アフリカの研究・情報収集をしろというのと同様、すべて明治以来の国のあり方を180度転換するとても大変な要求なのだが)。

の2点で、ブログやFBには何度となく書いたし、授業でも再三延べてきた話だが(與那覇潤さんほかと同じ話も多いし)、参加した学生や教員の皆さんの大半には「はじめて聞く」話で、「フツーの左翼の反対論を予想してきた学生」にはそれなりに刺激になったようだ。そもそも「左翼=中国の味方」という今の学生の「常識」は、左翼の歴史を知らないから生まれる大誤解である。やっぱり「左翼の歴史」「マルクス主義の歴史」をもっと授業で教えねばダメか?

質疑の中で疑問に思ったのは、東京裁判や日本国憲法をアメリカの陰謀・押しつけと批判する人たちが、集団的自衛権については、アメリカを「友人」として、「こちらがきちんと(無私の??)協力すれば向こうも必ず助けてくれる」関係だと主張すること。そこをツッコむ時間がなかったが、私が一番わからない点である。

ただし、そういう人たちが、中国や韓国・北朝鮮を「わけのわからないヤツ」と思って不信感を募らせている--私が上で述べたような日本全体の「アジアを理解できない/理解してはいけない明治以来の日本の仕組み」の結果として--の事実だから、前にも書いたように「中国を得体の知れない他人から(相当クセがあるにせよ)理解すべき隣人に変える」ことに努力しなければならないという感を強くした。

北海道世界史研究会のお知らせ

日 時 平成26年8月8日(金) 9:30~17:10

会 場 札幌市教育文化会館 研修室403
    札幌市中央区北1条西13丁目 ℡(011)271-5821

主 催 北海道高等学校世界史研究会

後 援 北海道教育委員会・札幌市教育委員会・北海道高等学校長協会(予定)

主 題 「新学習指導要領実施に際し、国際理解を進めるための世界史教育」

講 演
①「アジアに利用されたイギリス帝国-グローバル=ヒストリーの視点から」
  講師 大阪大学大学院文学研究科教授 秋 田 茂 氏

②「ウクライナ情勢を歴史的に考えるために-帝国論と社会主義の歴史から」
  講師 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター
  准教授 長 縄 宣 博 氏

③「日本学術会議提言『歴史基礎』科目と歴史的思考力育成型の歴史教育とは
-韓国の教科書事例から学ぶ」
  講師 東京学芸大学名誉教授 君 島 和 彦 氏

研究協議
(テーマ)「世界史をグローバルにとらえ、歴史的思考力を培う授業とは」
進 行  北海道有朋高等学校 教諭 吉 嶺 茂 樹 氏
コメンテーター  成蹊中学・高等学校 教諭 日 高 智 彦 氏

参加費 2,000円(当日会場にていただきます。)

問い合わせ先
北海道苫小牧西高等学校 今井 一吉
〒053-0807 苫小牧市青葉町1丁目1-1
TEL 0144-72-3003/FAX 74-2977
E-mail imai.kazuyoshi[a]hokkaido.school.ed.jp

※研究大会・懇親会への参加につきまして、準備の都合上、上記の通り、FAX・メールにて下記の問い合わせ先へ事前連絡を下されば幸いです。

静岡の高大連携

第7回静岡歴史教育研究会のお知らせ

日時:2014年8月7日(木)14:00~18:00

会場:静岡大学人文A棟6F大会議室
http://www.shizuoka.ac.jp/access/map_shizuoka.html

入 場:無 料

主 催:静岡大学人文社会科学部学部長裁量経費「歴史教育の地域的拠点形成を目指した教材・教授方法の開発と高大連携の推進」(静岡歴史教育研究会)

問合せ先:岩井 淳(静岡大学人文社会科学部) YQS02036[a]nifty.com


「地域の歴史資料保全と教育への活用」

報告者①:高津秀之(東京経済大学)
「ドイツの文書館と地域社会:文書館の倒壊した町ケルンにおける文書保存と歴史教育」

報告者②:西村慎太郎(国文学研究資料館)
「民間における歴史資料の保全活動の実践と課題 ―南伊豆を事例に―」
司 会:今村直樹、藤井真生(静岡大学)

閣議決定文の「ごまかし」

毎日新聞「特集ワイド」大阪本社版では昨日の夕刊に載っていた。ネットでは3日から出ていたようだ。
http://mainichi.jp/shimen/news/20140703dde012010003000c.html
阪田元法制局長官など、単なる「憲法9条護持」でない専門家たちが懸念を述べている。

決定文は<「武力の行使」には、他国に対する武力攻撃が発生した場合を契機とするものが含まれる>と戦争参加を想定しながらも、参加国の交戦権には言及していない。阪田さんはここにも疑問を投げかける。「憲法9条により交戦権を持たない日本には、他国のような(非戦闘員の保護など)戦時国際法の権利が認められないと解される。それなのに、どうやって他国と同じように戦争に参加するのか」。敵国に拘束された自衛隊員は捕虜としての権利を主張できず、軍人ではなくテロリストとして扱われる恐れがある。

閣議決定文は、国連集団安全保障措置の後方支援や国連平和維持活動(PKO)の<駆け付け警護>についても、従来は憲法9条に抵触するとして非戦闘地域に限っていた自衛隊の活動範囲を拡大し、武器の使用もしやすくした。

 国連職員として紛争地で武装解除の経験を持つ伊勢崎賢治・東京外国語大教授(平和構築学)は「武装した組織を紛争地に派遣すれば、住民に対する誤射などの問題が必ず起きる。そのため、問題を処理する軍事法廷を持たない軍隊は使えないというのが国際社会の常識だ」と言う。自衛隊にも軍事法廷はない。
 「問題はここだよ」と決定文を指した。<「国家に準ずる組織」が敵対するものとして登場することは基本的にないと考えられる>。PKO派遣された自衛隊員が武器を使用しても紛争に巻き込まれないとする論拠だ。「現実は正反対だ。『国家に準ずる』敵対組織は、外国の軍隊が駐留していること自体を理由に、民衆の中から次々に出てくる。戦争終結後のイラクを見れば明らかだ」。伊勢崎さんはそう喝破する。

これはやっぱり憲法を変えねば無理だろう。それでも集団的自衛権の行使が必要と考えるなら、正々堂々と改憲を提起すべきだ。
憲法解釈の変更でOKなどと言い張る人々は、自分たちが「平和ボケ」でないことを証明する義務がある。
さもなくば、近隣に悪い国があるという「現実」さえあれば自分で法治国家も言論の自由も壊していいと思っていることを、はっきり認めるべきだ。



プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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