桜井先生の虹

DSC_5231b.jpg
科研の調査でベトナムに来ている。
山地の歴史調査で、昨日はクアンビン省からクアンチ省に抜けるホーチミン・ルート(東西2ルートあるうち西側のルート)を走った。
ずっと雨や濃霧の中を走り、時間が予定より大幅に遅れてすごく暗い気分だったのだが、日没間際に日が差し、虹が出た。仲間たちも、気分がすっかり変わった。

桜井先生が見せてくれた虹ではないかと感じた。
スポンサーサイト

世界史雑記帳(8):マリ-・アントワネット

今日はジェンダー科研の研究会。
日本史・世界史の入試を分析した報告を聞いた。
日本史も世界史もジェンダー史の扱いは不十分だが、日本史のほうがまだましな様子だ。

はじめて聞いたのだが、「パンがなければお菓子を食べればいいのに」とマリー・アントワネットは言ってはいないのだそうだ。にもかかわらず、こういう「通俗知識」のままで入試が作成されている。いっしょうけんめいチェックするのはその人名や語句の用語集頻度だけ。ジェンダーや女性の出題といっても、多くは定番の人名とか女性参政権の獲得などを型通り出題しているだけである。

これをどうするか、討議は議論百出だったが、ジェンダーバイアスを含め、とても根本的なところを変えないといけないということだ。

米長名人

博多に集中講義に行っている最中に、桜井先生の訃報と前後して、将棋の米長元名人(将棋連盟会長)の訃報も伝わった。
年齢は桜井先生の2つ上。
私の若い頃は大山-升田時代から中原-米長時代に移る頃だった。
個性的な米長将棋には魅力があった。
集中講義の受講生に元将棋部員のUさんがいたこともあり、昼飯のときなどにいろいろ話題が出た。

米長さんは東京都教育委員としては困ったこともしたのだと思うが。
将棋連盟は今後はだれが背負うのだろう。
羽生名人は社会の中、世界の中で将棋の位置を考えている人だと思うが。

恩師の訃報

昨夜遅く、出張先の博多のホテルでメールを開いたら、桜井由躬雄先生が亡くなったというメール。
石井米雄先生も急だったが。
二人とも駆け抜けて行ってしまわれた。

世界史雑記帳(8):アメリカの乱射事件

ヨーロッパ起源の共和主義や民主主義が、武装戦士のそれであったことを思いださないわけにはいかない。
昔は人権を否定したケシカランやつだと教わったが、「万人の万人に対する闘争」を憂えたホッブズのような思想がヨーロッパに出てくるのも、当然だと感じられる。

アメリカ合衆国はまた、極端な国家である。ギリシア・ローマの「市民」もそうだが、とくに経済・生活の絶対的に自立した単位であるゲルマン人の家族(家父長は一身にその力を体現する)のイメージが、アメリカの国家・社会に再現している気がする(ゲルマン家族のイメージが、現在の研究に照らして妥当かどうかはよく知らないが)。それは、大きな政府や国民皆保険を否定するような、そして「インディアン」はどんどん殺してもいいような、そういう自力救済の世界だろう。

儒教か儒学か

昨日の歴教研月例会のもうひとつの発表は、院生の東アジア近世の宗教についてのグループ報告だった。
儒教を中心に、仏教・道教や民間信仰との関わりも述べており、なかなかの力作だった。

発表を聞いて認識したのは、山川の詳説世界史+用語集は「儒学」としか書いていないが、帝国書院(新詳世界史B)は逆に「儒教」としか書いていない点。

面白かったのは、中国人の院生が中国では儒学としか呼ばない、儒教という言い方はおかしい、と違和感を示した点である。そこは、「学」(学問・思想)だけでない礼の実践、祖先崇拝その他の部分をきちんと説明できるようにしておく必要があるだろう。以前も書いたように、とくにインテリ・支配層でない大衆への浸透を理解するには、「学」だけではだめだろう。そこでいう「教」はもちろん、近代ヨーロッパで作られた宗教の定義には合わないが、それは定義の方がヨーロッパの特殊例だけにもとづいているからである。

なお「学問を修めた人間が偉い」「怪力乱神を語らず」という儒教は、たしかに神秘的な教義や教団をもつものだけを宗教と見なす定義にしたがえば、「学」だけでよいかどうかは別としても、宗教ではないと言える。が、注意しなければならないのは、「習俗であって宗教でない」という日本の神道の主張が主張することと共通の東アジア的な土台がそこにあることである。

もう一点、儒教で救われない人のために道教や仏教、カトリックその他が必要とされたり受け入れられた、という
あたりをもっとふくらませると、話はさらに面白くなっただろう。


プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセス・カウンター
あなたは
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR